再開発を促すための地域限定で規制緩和する都市再生特区が稼動し始めた。政府の都市再生本部
はまず東京、大阪の計5カ所を軸に6月にも特区の前段となる緊急整備地域として指定する方針を固めた
。都市再生の先行は地価上昇というへの期待感が追い風になっている。
例として、八重洲口周辺は一等地なのに、戦後間もなく建てられた小さなビルが多く、設備の老朽化を嫌
って本社を移転させる企業も出ているが、反対側の丸の内地区とは対照的である。
再開発では、中小ビル群を高層化することで公共スペースをひねり出し、八重洲側の駅前広場を大幅に
広げ、バス乗り場を丸の内側から移転・集約することも検討されている。
民間企業が強い関心を持つのは、3月末に成立した都市再生特別措置法で緊急整備地域に指定され
ると、民間からの開発提案が可能になったからである。手続きに必要な期間も大幅に短縮され、ビルの容
積率や用途規制の緩和も見込まれる。
特区になれば大型開発を進めやすくなり、再開発の収益性が高まり、地権者も乗りやすくなると期待さ
れる。
特区は大都市が中心である。まず大きな緊急整備地域を指定し、その中から特区を選び、規制緩和を
徹底する。
東京では緊急整備地域として、八重洲などの東京駅周辺(千代田、中央区)、港区赤坂周辺、中央区の
臨海部の3カ所を指定する方針である。大阪市では、最後の国内一等地のJR大阪駅北側と、難波駅周
辺のミナミ地区の2カ所で、ほかに此花区の臨海部も検討している。
さらに、地元からの要望の強い名古屋や横浜、北九州市などの数カ所を加えるかどうか調整を進めて
いる。
都市問題に詳しい関係者は、同法について「日本の国土政策を従来の全国一律の開発から、都市重視
へ転換することにつながると評価できる。地方へむやみに広げたり、目先の景気対策として期待したりす
べきではない」と指摘している。
実際はほかの狙いもある。再開発を後押しすることで土地需要を刺激し、対象地域や周辺の地価上昇
につなげる期待である。
(以下の画像は、特区に選定されたバブル期の大阪駅・北側の構想図)